「A New World Without Us」

硬い人がいなくなってからとても長い時間が経ちました。
その身体がどんなに飢え乾こうとも歩く事を止めませんでした。
食事も摂らず他の物には目もくれず延々と。
そして彼女は遂にシェルターの場所を見つけます。
光っている場所に手を置くと道が開けていきました。
中に入ってみると沢山の人が変わったベッドで眠っていました。

少女はボロボロの身体を引き摺りながら眠っている人たちを見ていきました。
その中に写真に写っている人を発見しました。
何とか起こそうとしますが一向に起きる気配がありません。
彼女は悟りました。『あぁ、手遅れだったんだ』と。
その場に座り、硬い人の事を想い出します。
そして、彼女はこう囁きました。
『もっと世界が優しければ良かったのに。そうしたら硬い人もこの人達も死なずに済んだのに』

彼女は身体に錬金術を組み込まれたクローン人間の子供として練成されました。
その彼女の身体にも錬金術は受け継がれていました。
そして彼女は死にたくないと願い、その命を対価に死ぬ事の出来ない命を作りました。
そして今度はその尽きる事の無い命を対価に優しい世界を作りました。





何度も何度も
ボロボロになりながら
最期に
世界の果てへと辿り着いた。

挫けそうな時、
諦めそうになった時、
いつだって貴方の声が響いていた。
目は霞み、
死が訪れ、
飢えが纏わり付くが、
不死の身体は止まる事は無かった。

ひっそりと建つ廃墟の中で、
彼らは死んだ様に眠っていた。

「わたし」はあの写真の女の子を見つけた。
彼女は見慣れぬベッドで眠っていた。
起こそうと何度も呼びかけるが目覚める事は無かった。
「わたし」はその場に座り、思い浮かべた。

空は澄み渡り
暖かい空気が訪れ
雨が大地を潤し
太陽が微笑みかける
時はゆっくりと流れ
争いなど存在しない
夢にまで見た
新しい世界、を。

するとその祈りは世界を悲劇から平穏へと変えた。
その時、「わたし」の命は眩く輝き、消えた。

guitar solo : ノーザン・キラー

ちっぽけな希望の呼びかけに
世界は応えた。

まるで糸の切れた人形の様に
瞳を閉じ、其処で眠った。
時は加速し、
「わたし」の亡骸が消える頃、
暗雲は消え、
世界は鮮やかに彩られていた。

『世界が変わった』

空は澄み渡り
暖かい空気が訪れ
雨が大地を潤し
太陽が微笑みかける
時はゆっくりと流れ
争いなど存在しない
だけど「わたし」達は其処にいない
それが新しい世界

『世界が優しければよかったのに』

自然と生命に溢れる揺り籠に平穏が訪れた。
しかし、其処には人類は存在しない。
太陽の光は歌い、星の瞬きは踊る。
一輪の花が風に乗り海の上、空の中を舞っていく。

遥か
彼方へ
飛んでいく
この優しい世界で